2018年03月30日

『ジブン学』

天皇陛下が沖縄に来られた三月二八日。


天気は快晴。気温も適度に暖かく、今ぐらいの春分から梅雨入りまでの時期を、沖縄ではうりずんの季節と言う。

沖縄では冬の寒さがやわらいだころ、一週間から十日ほどやたら過ごしやすい時期があり、この日はまさにそれだった。

そんな日のアルプスセンター水曜日、午後のプログラムは大城麗子さんの『ジブン学』

朝、アルプスに仲間が集まってる時間から、今日もきっと面白いことになると全員ちょっと入れ込んでいる。笑

午前中の自助グループ形式ミーティングが終わり、お昼休みに食事をみんなでとっていると、アルプスセンター施設長の岡田さんがやや不安げな顔であらわれた。

「あれ?麗子さん来てない??」

まだ正午を少しまわったとこだし、午後は1時半から。それに麗子さんは正確な時間や場所や道順も苦手という個性がある。

ルーズとかヤバいではなく、発達凸凹の特性だと思われる。たぶん。

そうではなくて午後までだいぶ時間もあるし、まだですよと思っていたら、岡田さんが言う。

「麗子さん、ミーティング見学したいって言って、来るって言ってたんだけどなぁ」

アルプスの仲間たちにどよめきが走り、おそらく全員がちょっと喜ぶ。

やったー!なんか麗子さんらしいよね!サンキュー!!
そんなふうに盛り上がってしまった。笑

そんなこんなで1時ころ麗子さんが来てくれた。扉の開く音がして「こんにちはー!!」とえらい元気な声がした。

「こんにちはー!」とアルプスの仲間たちも挨拶をかえす。

午前中のミーティング見学は、確認とかチェックがとか言っていた。
施設側とのコミュニケーションのすれ違いみたいで、忘れてたなどではなかったみたい。

ただウッカリ忘れてしまっていても、アルプスメンバーは麗子さんだとまったく問題にしない。これも麗子さんの良い部分の特性だと思われる。(?)

それでこの日にやったことは、まずリラックスについて。

お昼休みからの麗子さんとのおしゃべりも一段落して、最初に全員で瞑想する。

その前に瞑想のやり方の復習をしてるとき、麗子さんの誤読で本人も含めて大爆笑になる。

半分、のところを「はんぷんて30秒でしょ?長いんじゃなぁい?」

はんぷん??利用者の一人がテキストをのぞき込む。

「麗子さん。これはんぶんて読むんですよ」
「あ!はんぶん(半分)か!あははははー!」

なによりすごいのは、麗子さんが用意したテキストなのにそれを自分で間違えて、しかもこれ前に使ったのと同じやつじゃん!ww

瞑想だけど、以前上手なコミュニーケーションのことの時間に「呼吸を揃える」というのをやって、この瞑想の時間にはその意味がある。

その後、各々で紙に自分なりのリラックスを書いて発表する。

印象的だったのがスタッフさんの二人が、ない、ほぼないと答えてたことだった。

アルプスセンターのスタッフといったら、利用者が全員依存症という非常にハードにお仕事なんですから、ぜひぜひ緩める時間もしっかりもうけてくださいね!

仲間たちのリラックスの仕方はそれぞれながら、なんとなくだけど自信を持ってやっているというより、これでいいのかなと思いながらもなんだかやってるといった感じ。

そこに麗子さんは、リラックスすることと、それを意識して自分からやることが大事と言っていた。

流されて一日中忙しいで終わるのではなく、リラックスを意識して能動的に行うことにも意味があるんだと思う。

仲間たちのリラックスについてははちょっとだけ写真にも写ってますよ。

休憩のあとはがらっと変わって、麗子さんが、

「あと7日で死ぬとしたら、世界が滅びるでもいいけど、なにをやるかみっつ書いてください。それと人生で大切にしてることもみっつ書いてください」

仲間たちは最初の質問では、やはり「お酒」「薬」なんてのも出かけたけれど、結局は誰もやらないそうである。笑

カッコつけてるんじゃないの?
本心はどうよ??
そういう意見もあるだろうけど、アルプスの仲間たち、最期には依存物質よりやりたいことが、、ではなくお酒も上手に飲めないし、薬物もどうせおかしくなってしまうというのを、今までの経験で骨身に沁みて理解できてるようだ。笑

本心は、それはお酒だって薬物だってやりたいけど、現実的には最期の七日間が完全に無駄になるだろう想像はできてしまうのだ。

みっつのなかにはとってもハートフルなこともあれば、かなり外道なこともあったw

その意見をぶつけ合うのではなく、正反対のことを言う仲間にも優しさや正直さの部分をを尊重し合ってる。

人生で最期に......、の質問の模範解答は、特になし。いつもどおり。なんだと思う。

それに近づけて進みたいものである。




お次は自分の人生で大切にしてること。

麗子さんは「こと。もの。人。なんでもいいです」という。

言うまでもなくアルプスの仲間たちの以前なら、飲酒、薬物使用、ギャンブルなどがトップにあり、それ以外も軽くみっつ以上はそれらにまつわることで独占されていた。

現在は.....自分のことや自分の周りのこと、人間関係にまつわることが多く聞かれた。

じゃあ、自分のことや人間関係の苦しさが依存症と関係あるかと聞かれたら、実際のところだいたいそこである。

その辺を改善することによって、飲んだり使ったりする必要性みたいなものを、減らしたりなくしたりすることは、この先スリップせずに進めることに繋がる。

この考え方は、今年の二月十七日に行われた、アディクションフォーラム2018で講演してくれた、小林桜児先生のお話と、去年講演してくれた松本俊彦先生のお話も参考にしています。

カゴに閉じ込められたネズミは、用意された普通の水とモルヒネの入った水のうち、モルヒネの入った水のほうをじゃんじゃん飲むんだけど、オスもメスも複数いて、ひろびろとした空間で食べ物も豊富な環境では、ネズミたちはしっかり子づくりしつ、モルヒネなんぞ飲まないという結果だったそうである。


『ジブン学』の時間、これでもだいぶはしょったんだけど、麗子さんとアルプスの仲間たちとのおしゃべりなんかは、とんでもなく盛り上がった!

盛り上がったんだけど、これは書きたくても書けない、これ以上書けないこともないってくらいの内容というか違法というか。笑

皆さんも麗子さんも真面目に立ち直ってるんだけど、まだその途上でもあるし、放送禁止な感じもするので、いつかどこかでということで。笑

それでもう2枚のテキストはなにかと思ってたら、麗子さんが「あー!今日時間なくなっちゃった!なのでこれは今度!!今度やります!」

盛り上がって時間配分ができないことも、今度でいいやとゆるい感じもアルプスメンバーとなんら変わらず、そんな麗子さんがみんなして大好きです!!

そんななかまだ底が見えない引き出しも、ときおり見せる真剣な表情やハッとする発言も麗子さんの魅力である。

「麗子さん、安定の可愛さだったね〜」

という言葉も出た。

麗子さんてほんとすごい!
面白さとか、へんなとこで隠れてしまいそうになるときがあるんだけど、自分と向き合うことや自分を輝かせることについて、ほんとにスゴすぎる人物である。

それらを惜しげもなく手渡してくれるなんて、ほんとにいつもいつもありがとうございます!!

それで近いうちに麗子さんがアルプスの午前の自助グループ形式ミーティングに来るそうだけど、良い意味ですんなりいかない気がする。笑

自分のいろんなところを面白おかしくしちゃってて、いわゆるこれぞ回復者!なんだと思いますよ!

ミーティングで待ってますね!!

< 文章&写真 利用者 依存症のハル >

『ジブン学』


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Posted by アルプスセンター at 16:03│Comments(0)
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